2017年5月17日 水曜日
26日目 モンゴル カントリーサイド
朝方4時頃に目が覚めて寝れなくなっちゃったので、お湯を沸かして最高の景色を見ながらコーヒーを飲んだ。
贅沢な時間。
朝方はやっぱり寒いな。
寝袋に包まりながら日記を書いた。
2度寝しようと頑張って目を閉じるけど、結局寝れなくてラーメン作った。
自炊するのだいたい夜だけだし食料買いすぎたかな。
エミルが起きるまで、ダラダラと本読んだりしてたら、また10時くらいになっちゃった。
今日はずっとオフロードだろうなぁ。
もうすっかりオフロード恐怖症だ。
出発してからオフロードをガンガン進んで、かなり走ったけど中々町が見えてこない。




近くのはずだったんだけどルートも沢山あって迷うし、オフロードのおかげで全然距離が伸びない。
結局お昼過ぎくらいに砂嵐が吹き荒れる廃れた町に到着した。



お昼を食べようと町唯一のレストランに入って、メニューも何もないとこだけど何とか2人ぶん注文できた。
でてきた料理はかなり豪華で、久しぶりの卵に感激した。
肉も沢山入ってて、満腹になって4500トゥグルグ。こうゆう田舎の方がサービスいいんだよなぁ。
満腹になったのでいつものごとく腹痛くなってトイレへ。
だけど店にトイレは無くて、店員さんの家の便所を借りた。



モンゴル式の穴あきトイレだ。
それから出発。
かなりのオフロード。運転めちゃ疲れる。
エミルはオフロードでもガンガン飛ばすし、怖い物知らずだ。
聞いたら、フィンランドもオフロードが多くて慣れてるっぽい。
てか、免許ないのに何で慣れてんの?
走っていると途中で崖に入ってしまい、かなり急勾配の所で道がいきなり終わってしまった。
こんなところでとてもUターンなんて出来ないし、かと言って下に降りれるような勾配じゃない。
うわ…もう終わった…。
もうここで死ぬかもしれない…
ここからバイクごと転げ落ちる所しか想像出来ない。
もう半べそかきながら「こんなの無理だよ!どうすればいいんだ!」
と叫ぶが誰も助けてなんてくれない。
もうどうしようもない。
意を決して、ギアを入れてブレーキも握りしめながら斜めに一気に駆け降りていく。
怖ぇ。。
少しのミスでバイクごと下まで転げ落ちる。
だけどなんとか下まで降りれた。
よっしゃー!生きてる!
マジでもう死ぬかと思った…
だけど今度は川もあって、川を渡らないと進めない。
もう腹決めて川に突っ込む。






なんとか渡れたぞ!
川を渡った事で、少し自信がついてペースも少しづつ上がってきた。
てか、川多すぎ。
もう大した深さじゃなかったら気にしないでガンガン入ってた。いちいち立ち止まってたら全然進まない。
やっぱりそんな所だし、景色は絶景だらけ。
モンゴルの景色は今まで見た事ないような壮大な景色だ。









エミルも立ち止まっては嬉しそうに写真を撮ったりしてる。
そしていつものようにエミルが先行して走ってて、相変わらず早くてすぐに見えなくなってしまった。
でもいつもより早めに姿が見えてきて、どうやらさらけた様子だった。
「とうとうあいつもやっちゃったかー」と思いながら近づいて行くと、顔から血を流し、大分ケガを負ってて驚いた。
かなりスピードだしてたんだろう。
とりあえずガソリンの漏れているバイクを起こした。俺のよりだいぶ軽くて1人でもなんとか起こせた。
エミルは自分では運転も出来そうになく、とりあえず近くの丘の麓まで俺が運転して持って行った。
ガソリンも漏れてハンドルも曲がり、フットブレーキも曲がってるしバイクもかなりダメージを負ってる。
思ったよりも重症みたいで、手も全然動かないみたいだ。
どうしたらいいかわからず慌てる。
電話もない。周りに人も居ない。
もう暗くなり始める。
ヤバい、どうすればいい?焦っても俺にできる事がない。何て無力なんだ。
遊牧民ならいるかも知れないと、とにかくバイクで探しにいく。
けっこう走り回ってやっとゲルを見つけたけど、おじいちゃんとおばあちゃんしかいないみたいでが全然理解してくれない。
エミルのケガの写真を見せて、ジェスチャーしてなんとか助けてくれるよう頼んでも、まるで取り合ってくれないで、「向こうに行け」みたいな事を言ってる。
もう暗くなって来てる。
時間がない。ヤバい。考えてる時間はない。
焦りながらもあてもなく走り始めると、すぐにもう1つのゲルを見つけた。
声をかけると若い女の人が出てきて、言葉は通じないけど話は聞いてくれる。
「電話で救急車呼んでくれ!」とお願いしたけどまったく通じないし、山の中で場所もハッキリしないから呼びようがないのかも知れない。
お母さんやお父さんも出てきて、話しは聞いてくれる。
もう土下座した。何回も土下座して、助けてくれとお願いした。
そしたらお父さんがバイクでついて来てくれる事になった。
ありがとう。
エミルの場所まで誘導し、バイクのガソリン漏れや、ハンドルなど、とりあえず応急処置で直してくれた。
でも、「それより病院に電話してくれ」とお願いするけどうまく通じない。
誰かと頻繁に電話はしている。
電話を借りて、119とか試もしたけど通じない。
困り果て、2人乗りでとにかく近くの町まで運ぶしかないと、荷物を降ろそうとしてる時にバイクのライトが見えた。
「人だ!」
と思い、見るとお父さんがライトで合図してこっちに呼んでる。
2人乗りで若い人が来て、必死に説明すると1人はエミルのバイクを持って、もう1人がエミルを病院に連れてってくれるそう。
きっとお父さんが呼んでくれたんだ。
本当にありがとうございます。
お父さんにお礼を言って、若い人達と一緒に町まで向かった。
真っ暗で怖いし、何かいも事故りそうになりながらもなんとか到着。
小さな町だけど、意外にも病院があって手当してくれた。






ホット胸を撫で下ろす。
不安だった。怖かった。
あのまま誰も見つけられなかったら本当にヤバかった。
エミルも相当不安だろう。まだ19才の若者だ。
今の俺がエミルの立場だったら不安に押し潰されて泣いてたかも知れない。
何も出来ない自分に腹が立つ。
レントゲンの結果、手の骨が折れてた。
エミルは今日は病院に泊まれるらしい。
「明日また来るよ」と言って、俺も近くでキャンプしようと、外に出て近くの空き地みたいな所にテントを張った。
送ってくれたタクシーの2人がずっとついて来て、お金とかビールとか言ってるけど、それを俺に言うのは勘弁してくれ…



結構しつこかったけど、俺のテントを張るのを手伝ってくれたりしてからどっかにいった。
すごい疲れたな、今日は。
明日から1人かぁ、不安だな。
ビールを流し込んで、ラーメンを作って食べた。このラーメンがめっちゃ美味かった。
この日、なぜかすごくいい夢を見た。


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